卒FITのオペレーションは「実務者会議」にて議論中



では、いよいよ卒FITの具体的な実務、
オペレーションに入っていきます。

現在、卒FITのオペレーションに関しては、
「スイッチング支援に関する実務者会議」というところで議論されています。

この会議は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が開催している会議です。
OCCTOの他に有力な新電力(小売電気事業者)などを集め、オペレーションレベルの細かい運用の決めごとを議題としてあげて議論しています。
その結果、この会議での決定事項が、各小売事業者や送配電事業者の業務仕様となっています。

卒FITに対してもこの会議で昨年の秋頃から議題として取り上げられていますので、現在卒FITビジネスを考えられている事業者はこの会議から公開される資料を注視したほうがいいでしょう。
パブリックな、しかも決定事項として重要な情報になります。



スイッチング支援に関する実務者会議 | 各種委員会・検討会 | 電力広域的運営推進機関ホームページ


スイッチングは、小売と同様のプロセス




電力自由化によって電力小売事業の全面自由化がなされましたが、この電力小売事業において「小売電気事業者」を切り替えることを”スイッチング”といいます。
これらはOCCTOから提供される「スイッチング支援システム」によってオペレーションが行われます。
卒FITのPVパネル(正確にはいち発電所として登録されています)の買取事業者の切替も、このスイッチング支援システムを使って行われます。

スイッチング(SW)のプロセスとは、新旧の買取事業者がやり取りを行いますが、ここでは新買取事業者のみの手順を示します。


【新買取事業者のスイッチングプロセス】


 ①SWに必要な情報の入手
  「受電地点特定番号」「現買取事業者との契約番号」「需要家氏名」


 ②SWに廃止取次の申請
  現買取事業者に対して「SW廃止」をして欲しい旨を申請します


 ③廃止取次OKが回答され次第「SW受電開始」の申請
  新買取事業者へSWする旨を申請します。


 ④マッチング
  新買取事業者の「SW受電開始」と、現買取事業者の「SW受電廃止」の両方が揃うことをいいます


 ⑤受電開始
  スマートメーターが付いている場合・・・マッチング日の翌日から1営業日+2暦日以降
  スマートメーターへの取替が必要な場合・・・マッチング日の翌日から8営業日+2暦日以降


※廃止取次を行わず、発電者が自ら現買取事業者に廃止を申込、かつ新買取事業者に開始を申し込む方法もありますが、現実的に利用されていないためここでは割愛します。

  

小売電気事業者として電力小売のSWプロセスを経験している事業者にとっては、馴染みの深いプロセスを卒FIT対象電源にもおこなうこととなります。




卒FIT電源のSW日は「契約満了の翌日=検針日」




さて、新買取事業者にとって最も気になる「SW日=いつから買取ができるの?」という疑問について説明します。


SW受電開始申請時に、SW希望日(SW支援システム上では「廃止年月日」)をセットしますが、2つのパラメーターから判断します。

まずひとつ目は「FIT買取(契約)満了日」。
卒FIT電源の保有者から「FIT設備認定書」(写しで構いません)を入手し買取満了日を確認します。
この買取満了日より前の日付では、まだFIT契約が有効なためSWをすることができません。

この買取満了日の”次の日”が最後の検針日(定例検針日)となり、この日がSW受電開始として最短で登録できる日付です。なぜなら「卒FIT電源のSW日は原則定例検針日」とされているからです。
ただし、あくまで原則ですので小売のSWと同様に解釈すれば、何か特別な事情や発電者からの強い希望があれば自由な日付を入力出来る仕様にはなっていますが。

この買取満了日の確認が1つ目のパラメーターになります。



もう一つのパラメーターが、「マッチング日の翌日から起算した日付」です。
上記のSWプロセス⑤でマッチング日の翌日から起算して・・・ということを書きました。
「1営業日+2暦日」or「8営業日+2暦日」というものです。

このマッチング日の翌日から起算した日付が、買取満了日の次の日=定例検針日以前であれば、晴れて初回の定例検針日をSW開始日としてセットできます。
しかし、この日付が買取満了日の次の日以降である場合、残念ながら直近の定例検針日をセットすることはできず、次回(約1ヶ月後)の定例検針日をセットすることになります。




SW_Day


出展:「第38回 スイッチング支援に関する実務者会議」より(https://www.occto.or.jp/iinkai/sw/2018/sw_shien_jitsumusha_haifu_38.html)



このように「買取満了日」と「マッチング日の翌日から起算した日付」、この2つのパラメーターを使い、判定をおこないセットするSW開始日を判断することとなります。
なお、小売のSWにおいて、この日付判定がミスオペレーションの温床であったことから、現在SW支援システム(WEB)では指定できる日付のサジェスチョンがポップアップで表示されるようになっているようです。




卒FIT向けのSW支援システムの利用は今のクライアント証明書でOK




これらの卒FIT向けのSW支援システムの利用についてですが、現在小売電気事業者として事業活動をおこなっている事業者であれば、特に何かを準備する必要はありません。
現在お使いのクライアント証明書を使い、SW支援システムにアクセスでき、卒FIT向けのメニューを利用できるようになっています。

ただし、まだクライアント証明書を入手されていない方は下記から購入しセットアップするようにしてください。



クライアント証明書の認証局 | 広域機関システム 利用手続き・計画提出 | 電力広域的運営推進機関ホームページ


ただし、次に出てくる「発電バランシンググループ」が小売事業者の中で組成されるため、その単位で「発電計画」「販売計画」の提出が必要となり、それは「広域機関システム」を利用しておこないます。そのため準備として広域機関システムへの利用申請は忘れずに行いましょう。



広域機関システムの利用開始にあたって|広域機関システム 利用手続き・計画提出|電力広域的運営推進機関ホームページ


買取のためには発電バランシンググループの組成が必要




小売電気事業者が卒FIT電源を買い取った場合、買取電力量はその小売事業者の持つ「発電バランシンググループ(BG)」に発電量として計上されます。
そのため、卒FITの買取をおこなう準備として発電BGを組成しなければいけません。

その手続きは、卒FIT買取をおこなうエリアの一般送配電事業者に「発電量調整供給契約」を申し込む必要があります。
ただし、その申込には「発電BGコード」が必要であり、これはOCCTOへ発番申請をすることで入手できます。
この発番BGコードを記載の上、一般送配電事業者へ申込書を提出します。



発電量調整供給契約(バランシンググループ)|ご契約の流れ、各種申込みのご利用方法等|電力小売託送サービス|送電・配電|関西電力株式会社


なお、この発電BGは一つの小売事業者の中に、いくつも作ることができます。
卒FIT電源を買い取る事業者の中には、複数の発電BGを組成し、「これは自社の需要BGで使う用」「これは他社に卸売する用」と使い分けたい事業者も居ることでしょう。
しかし、現在SW支援システム上では、これらの複数の発電BGへSW単位で紐づけをおこなう機能は搭載されていません。

発電量調整供給契約を一般送配電事業者と締結する時に、一つの発電バランシンググループをデフォルトと指定するのですが、卒FIT電源をSWする際に、原則そのデフォルトの発電BGに紐づけが行われます。
もしデフォルトではない発電BGへの紐付けをしたい場合には、SW申請の単位で一般送配電事業者に申し出をする必要があります。
現時点(2019/03/29)では決まっているのはここまでであり、どのような書式で申し出をするのか、もしくは電話連絡なのか、デフォルト以外の発電BGへの紐付け期限はいつなのか、等々細かいプロシージャはこれから決まっていく模様です。



さて、これでいつでも卒FIT買取のSWをおこなう準備ができました。
しかし、これだけでは事業インフラが整っただけで、ビジネスとして成り立つところまで到達していません。
次回は、そのビジネス面の課題をご説明します。







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