「調達」と「運用」のプラットフォームがある



では、今回は需給調整市場の日常の業務オペレーションを解説していきます。


まずはプレイヤーとシステムの全体像からです。
プレイヤーとしては


  ・一般送配電事業者(TSO)※ここでは資料に合わせTSOとします。
  ・アグリゲーター
  ・電力広域的運営推進機関(OCCTO)


の3種類となります。

下記の図で言えば


 ・一般送配電事業者・・・下部のTSO1、TSO2

 ・アグリゲーター・・・上部左の「発電・小売電気事業者」

 ・OCCTO・・・上部右の広域機関システムの保有者(図には現れていない)

となります。



Overview



出典:第11回 需給調整市場検討小委員会 資料4-2-2   (参考資料)需給調整市場について



これらのプレイヤーが使うシステムは大きく3つあります。


【調達】需給調整市場システム
アグリゲーターとTSOが利用します。
アグリゲーターは毎日・毎時間帯ごとの出力帯および単価を入力することで応札ができます。それらの入力情報を元に、TSOは約定していきます(約定はメリットオーダーで自動の見込み)。そしてそれらの約定情報が、運用側の「広域需給調整システム」と「簡易司令システム」へと連携されます。



【運用】
①広域需給調整システム
OCCTOとTSOが利用します。
各TSOから共有されたメリットオーダーリスト・インバランス想定量・連系線空き容量を元に、各TSOで調達すべき量=調整力枠確保量が通知されます。その後、調整力枠確保量(≒上限)を基に、TSOが約定した情報(出力帯と単価)が連携され、最終的な連系線空き容量などを勘案し、最終的な需給調整が広域的(エリアをまたがって)行われます。なお、この広域需給調整システムは、需給調整市場システムとも連系線空き容量を共有しています。


②簡易指令システム
TSOとアグリゲーターが利用します。
この図では省略されていますが、各電源に対して約定された供出可能量を上限に指令が出されます。アグリゲーターは指令を受け取ると、指令通りの供出をしなければいけません。(指令値追従と言います。別の機会に説明します)



前週に調整単価を入力するところからスタート



では、実際の入札のプロセスに入っていきます。

まず入札する対象の日時・時間帯の「前週」に、「1週間分の”kWh”=供出できる量」の単価を需給調整市場システムへ登録することから始まります。この単価は2種類あり、上げ調整力(V1)、下げ調整力(V2)があります。どちらも入力することになります。

また、この単価は電源ごとに供出できる出力帯(kW)すべてに入力する必要があり、かつ1つの調整電源であれ出力帯によってます。下記の図であれば、調整力Aという電源は、30~50万kwの出力帯であれば、V1:8円/kWh、V2:7円/kWh、50万kWh~60万kWhの出力帯であればV1:9円/kWh、V2:8円/kWhとなります。



Registration






なお、この出力帯(kW)はもともとTSOが持つ需給調整の中心、中央給電指令所(中給)のシステムが「出力帯ごとの単価設定」をベースにして運用されているために、新たなアグリゲーターも同様の登録することになりました。ただし、中給による単独の需給調整と違うところは、時間帯別=30分毎の入札となったために、アグリゲーターは1日48コマを1週間分の336コマ分の単価を登録する必要があるということです。また、アグリゲーターが複数の調整電源を持つ場合、それぞれの電源ごとに登録が必要となります。

電源ごとに、かつ時間帯ごとに単価を変えようと考えているアグリゲーターは、まずはこの業務の負荷を下げることから考える必要がありそうです。


次に売り⊿kW価格と対象電源を入力



単価登録が終われば、次にすることは実際にその調整電源から売りに出す「⊿kW」の量と単価を登録することです。そしてこれは、登録済みのV1・V2単価(kWh)とも連動することになります。

例えば下図では調整力Aという電源は、50~60万kWの出力帯で+20万kWの上げ調整力を供出できます。それにより、


 ・応札量:+20万kW

 ・⊿kW価格:3円/kW

 ・kWh価格:9円/kWh


という情報が入札されます。



bit







また調整力Bという電源は、10万+5万+5万=合計20万kWのプラスの供出が可能ですが、分割して入札することも可能です。この例では10万と5万と5万というように3つに分割しています。

また⊿kW価格も、10万kWでは4円/kW、次の5万kWでは4円/kW、最後の5万kWでは5円/kWと単価を変更しています。「相対電源としてTSO以外に売る」ということをギリギリまで考える場合や、「出力が上がるほどコストも増える」というような考え方・運用をしている発電所も確かにあるため、その運用の考え方や実際のコストに合わせるという場合に応じた入札ができるようになっています。

ただし、これらも応札量を分割した際の⊿kW価格の設定・管理・計算方法など、アグリゲーターとしては頭を悩ませそうです。できれば自動化したいところですが、それ以前にロジックを検討し決定、システム開発の期間を考えれば、それほど時間は残されていません。そのため当初は、⊿kWの価格マスタについてはシステム外で管理し、ファイル読み込み等で一括登録ができるような仕組みが多く採用されるのではないでしょうか。



業務・システム仕様公開は9月だが、それまでも順次公開される可能性あり



なお、これらの業務は、需給調整市場システムの仕様に依存されるため、現在進めている要件定義が終わり、仕様公開となる2019年9月末を待つしかありません。ただし、2016年4月の電力小売前面自由化に向けて、スイッチング支援システムも順次決定事項から公開されることはアリましたので、各種の制度設計関連の委員会・会合などを注視したいところです。


次回は約定~約定後のプロセスを解説します。








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