工事中は「臨時」というメニューを工事事業者が締結している



では年間100万件の新設マーケットへのアプローチのアイデアをご説明します。


まず、新設=家を建てる時というのは、「臨時電灯」「臨時電力」というものを使用します。これは契約期間が1年未満の契約のことでして、工事事業者が主体となって契約がすることが大半です。この臨時電灯・電力は現状旧一電しか(表向きは)提供していないメニューです。「表向きは」という言う意味は新電力の中でも例外的に、公表していない形で臨時電灯を提供していると聞いたことがあるということです。


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臨時電灯がなぜ新電力から提供されないか、については「需要値が読めない」「工事事業者からの申し込みプロセスを作る術がない」ということが主だった理由です。需要値に関しては、「工事」という特性上、電気を使ったり使わなかったりの波が激しいことから、精緻な需要計画を作ることへのハードルになると考えられています。ですが、産業用ビルの建築現場ならともかく、戸建ての家の建築現場などでは需要値がブレたとしても大きな値ではなく、このブレを誤差として捉えられるぐらいの一般家庭の需要家数を抱えている新電力であれば、「一定件数までは」という成約をつければ、この臨時電灯も十分顧客となる可能性があります。「一定件数」というのは自社の需要計画の誤差の範囲という意味。ただしこれも一般的に参考値があるわけではないのでリスクとして捉えられ、新電力ではまだ広まらない理由にもなっています。

今後、新規顧客獲得が頭打ちになれば、臨時電灯・電力にも拡大する新電力が居てもおかしくはありません。



引き渡しが終わったあとは「新設廃止」という状態へ



工事が終わったあとには臨時電灯・電力の契約が打ち切られ、建物の分電盤に接続された通常の「電灯契約」へと切り替わります。一部、このときから施主名義の契約になることもありますが、こちらも大部分はまだ工事事業者が主体の契約です。そして電灯契約のもと、建物内部の電気設備等の点検をおこないます。

点検が無事に完了すれば、「施主への引き渡し」となります。内覧をして、設計図面と違うところがないか、不具合箇所がないかを確認して、施主がOKを出して「工事完了書」に捺印をすれば引き渡し完了です。その前後で、施主以外にも公開する「内覧会」が開催されることもあります。



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これらがすべて完了すれば、所有者は「施主」となりますので、ここで電気の契約も工事事業者としては一旦廃止を行います。この廃止を、「新設廃止」と呼びます。



新設廃止→再点は新電力の既存プロセスで十分対応ができる




その後、施主は引っ越しをすることで入居を開始します。
この時に、多くの工事事業者は「気を利かせて」旧一電へ電気の再点を申し込んでおきます。なぜなら工事事業者も施主の入居日を知っていて、電力自由化が始まる前には常に旧一電しか選択肢がなかったから、少しでも施主が面倒な手続きをしないで入居できるようにと考えるからです。

ここで、もう一度電気の契約の状態を見てみましょう。



   引き渡し→新設廃止→入居→再点


です。「新設廃止」という聞き慣れない言葉がある以外は、通常の引っ越しの状態遷移である「退去→廃止→入居→再点」となんら変わりはありません。もちろん、SW支援システム上の申込も同様で、「再点」の申込をするだけなのです。

そのため、新電力でも現在の業務プロセスの流れで十分対応できる処理なのです。



新設の新規需要家を獲得するために押さえるチャネルは「施工会社」



業務プロセスが既存のままで対応できるとなれば、あとは流入口をどう探すかです。

新築に関してはデベロッパーや不動産会社、施工会社が複雑に入り乱れての様々な施工体制があります。がもっとも抑えておくべきは現場を担う施工会社でしょう。もちろんデベロッパーや不動産会社から抑えることができ、施工手順の最後に「電気契約は○○に申込をすること」と一行足すことができれば御の字ですが、そもそも月々の電気料金の数千倍を扱う企業からすれば、小さなことですので、実はデベロッパーや不動産会社の足しになることではありません。そのため、言葉は悪いですが「電気契約なんて」現場の施工会社任せでもあるわけです。

ですが、現場工事を1日一人何千~数万円で請け負う施工会社からすれば、電気契約をどこどこへ申し込むだけで何かしらの収入が発生するのであれば軽いものでしょう。だから、新電力がまず掴むべきチャネルは「施工会社」であると考えます。

このチャネルを押さえることができれば、、施工会社が代理の申込をせずとも、施主へ「電気はここにも申し込めます」「電気はこちらがお得になってますよ」とパンフレットを渡してくれるだけでも一定の効果はあるでしょう。今までは選択肢のなかったマーケットへ、切り込んでいくことができます。










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