エネルギー事業と「サービス仕様」の関係性

今回はエネルギー事業に関して「サービス仕様」という切り口で、問題点とサジェスチョンを行いたいと思います。

まず、「サービス仕様」という言葉自体、聞くのが初めてという方もいらっしゃるかもしれません。それもそのはずで自由化されたエネルギー市場には様々な業界の方々が新規参入されていますから、「サービスを提供して対価をもらう」という業態に触れるのは初めてという方が多くいらっしゃいます。

その方々に「サービス仕様」という言葉を使うと、「なんとなく語感からは想像できるが具体的には何かは分からない」という反応が返ってきます。ですが、エネルギー事業に関わる方として、この反応は致命的だと考えています。

なぜならエネルギー事業は、「サービス仕様」に基づいてすべてのビジネスプロセスが構築されているから。サービス仕様の一部である約款を考えてみてください。サービスを提供するにあたってのルールとも呼ぶべきごとがズラッと並んでいます。

しかし、この約款を理解していないとなるとどうでしょうか?これは自社のサービスを理解していないことに等しく、このような方に新サービスの開発や、業務改善、システムの選定などを任せられると思うでしょうか?普通に考えれば思えないのですが、ですがエネルギー業界はこのような約款レベルのことを理解されていない方が、どんどん待ったなしで来てしまう新しい波に対応し、新規サービスを立上げざるを得ない状況です。ここに現在のエネルギー業界の新規参入者の勝ち組負け組が分かれてしまう要因があります。


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勝ち組新電力の代表はすべてサービス仕様を重視する業界

現在、エネルギー業界の新規参入者の中での勝ち組は、様々な見方がありますが、私は「都市ガス事業者」と「通信事業者」だと思っています。東京ガスや大阪ガス、KDDIやJ:COMと言った企業は、現時点での電力販売量実績でトップに名を連ねているだけではなく、今後もまだまだ販売量を増やしていくと見ています。その理由は営業力の強さもありますが、サービス仕様に裏付けされたオペレーションの強さがあるから、強力な営業力で獲得してきた多量の需要家を、取りこぼさずに受付し、サービス提供を開始し、毎月の請求を回し、回収していくケイパビリティが高いからだと見ています。

そして、このオペレーション力とでも呼ぶべき強いケイパビリティの裏には、サービス仕様を理解した上で、ビジネス・業務・システムを一気通貫してデザインできる能力があります。またこの能力は、常にサービス仕様を意識し、その後ろにあるビジネス・業務・システムを意識しているということでもあります。ここの点を大きく逸脱し、業務・システムを無視してビジネス企画を考えたり、業務・システムをガチガチに固めてしまってビジネスの幅を狭めてしまったりとするような事業者であれば、100万件オーバーの対応はできるようにはならないのです。



良い企画でもサービス仕様が固まらないために消えていく

彼ら、私が勝ち組と捉えている事業者は、ガス然り、通信事業然りそもそも「サービス仕様」ありきの本業をおこなっていました。これらは扱う商材は違うものの、サービス仕様を明確にしなければ展開できないビジネスの代表格です。約款に書かれていることを厳格に守りながら、しかし業務やシステムの幅をもたせるがために約款の書き方を一工夫するようなビジネスです。そのため、商材が電気に変わったとしてもサービス仕様の重要性を理解し、約款の作り方には一捻り必要だと認識し、これらに伴って業務・システムがスムーズなものになるか、しんどいものになるかをよく分かっていたのです。

しかし、様々なエネルギー事業者さんの新規事業をお手伝いさせて頂く立場からすれば、あまりにサービス仕様への理解が低く、企画自体は良いものの、サービス・業務・システムの設計が追いつかないがために立ち上がらない事業や、立ち上がっても鳴かず飛ばずの事業となってしまうことが多いのは非常に残念です。

また、企画サイドや営業サイドがサービス仕様の重要さを理解しないままに、企画レベルの話を持ち込み、IT部門が混乱し疲弊するのもよく見てきました。0か1かのパラメータを設定するシステムにおいては、サービス仕様はそのままダイレクトに影響が出ます。それが分かっているから、IT部門として何とか決めるべきことを決めて前進させたいのですがそのドライブの方法を知らず、企画サイド・営業サイドではそのレベルの細かさのことは決められる人が居ない、という状況に陥り、ついにはサービス・イン直前になって突貫工事でシステムを構築することになります。



新しいことをして事業を伸ばすために必要・必須のスキル

これでは、せっかく自由化されたマーケットに入ってきたとしても、そのうちビジネス・業務・システムのどこかで軋みが生じ無理がたたっては事業が頭打ちになります。様々な可能性が広がる新市場で、良い企画を持っていたとしても、それが日の目を見ることなく消えていってしまします。

ですから、今後エネルギー分野での新規事業にどんどんと取り組みたいと考える事業者は、基礎力とも言える「サービス仕様」を作るスキルを身につけるべきだと思います。

次回からは「サービス仕様」の具体的なポイントに入っていきます。








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